僕の少年/山人
中の仔虫たちは惨殺された
緑の林縁はオブラートに包まれ 目はしなだれた
複眼に覆われた ぼんやりとした視界があった
土を丸く盛り 仔虫をひとつづつ埋葬し目を綴じた
あの日 僕の中の少年は
--あなたから発せられたひとつの言葉--
によって撃墜された
*
たおやかに流れる豊年の祝詞の声
村々にたなびく 刈り取りの籾の焼けるにおい
はるか昔の 少年は
薄く染められた秋の気配に
どこかの葉先の水滴に 映し出されている
僕の中の少年はまだ死んでいるけれど
少しづつ僕は
ながい呪縛から抜け出そうとしている
ゆるやかな階段を降りるために
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