《ある男》/ふじりゅう
山盛り憂鬱朝食を
1食抜きにして
人の謗りを尻目にしながら
ぐるっと坂道を駆け抜けた
それがはじまりだった
(天才だって
凡才だって
人生はすべて誠意次第)
なんて、当たり前の格言
ドブ川に放り投げた
いつまでも続く電子音の響き
《僕はただ愛されていなかった》
資料の山はどうせ僕への嫌がらせ
罪はいくらでも親に
被せてやるんだよ
十字ボタンが遂に効かない
僕の足はどこへいったんだ
あの世界で 俺は大陸を
楽々横断できるのに
だからもういいや
鳴り響く嫌がらせの電話
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