《ある男》/ふじりゅう
 
山盛り憂鬱朝食を

1食抜きにして

人の謗りを尻目にしながら

ぐるっと坂道を駆け抜けた

それがはじまりだった


(天才だって
凡才だって
人生はすべて誠意次第)

なんて、当たり前の格言

ドブ川に放り投げた



いつまでも続く電子音の響き

《僕はただ愛されていなかった》

資料の山はどうせ僕への嫌がらせ

罪はいくらでも親に

被せてやるんだよ



十字ボタンが遂に効かない

僕の足はどこへいったんだ

あの世界で 俺は大陸を

楽々横断できるのに



だからもういいや
鳴り響く嫌がらせの電話
[次のページ]
戻る   Point(0)