Airport/宮木理人
木製のテーブルの上に、陶器のカップが置かれる時に鳴る、固くて温もりのある音がひとつ鳴って、向かいの席に座る君が、同じくカップを置こうとして、ふたつ目のその音が鳴ろうとするその間に、どこかの空港では大きな旅客機が、コンクリートの滑走路に着陸して、機内を揺らしながら減速をはじめている。機内には、番号とアルファベットで割り振られたそれぞれの人生がすし詰めにされていて、飛行機が完全に停止すると、客室乗務員が火を吹いて、機長は裸踊りをはじめる。そしてひとしきり踊ったあと、ゆっくりと着替えて、パチンコへ出かけていった。
それなのにテーブルに向かい合うおれらの人生は、どこにも割り振られることはなく、静かで穏や
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)