砂の月の鼓動/秋葉竹
 
空からぼくを狙って、
夜を、彷徨った、
眼鏡をかけた月の顔が、
平らな海に、映っていた。

観覧車から雲に手を伸ばし、
星を捕まえた。
その星に、手をかけて、
月と見つめ合い、
絡み合う、視線の障害、
月の眼鏡を外してみたら。

裸の方が可愛いや、その眼。

砂は流れ出すが、
熱い闇の道に、
聞こえない砂の月の音、
ぼくの孤独を置き去りに、
白い熱砂は汚れない。

蛇と蠍が星座から
ぼくに会いに降りて来たので、
砂の月は少しだけ微笑んだ。
そうしたら急に、
ぼくは感じた、
裸眼の月の、
甘い、恥じらいの鼓動。
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