シーサイドライン/山人
 
ら、その言葉が身に染みる
老若男女が自由に山頂を目指し、下山していた

大量の汗に山頂の風は冷たく、枯れたススキがなびいている
山頂にも鳥居が設けられ、そこでにこやかに参拝する若いカップルが居た
背中に汗がへばりつき、その不快さを合掌することで和らげようと銀硬貨を投げ入れる
食べるでもなく、飲むでもなく、もう一つ向こう側の峰まで歩きだす

山とはいっても、無雪期は山頂近くまでスカイラインが通り、たくさんの往来があったのだろう
今は通行止めとなり、冬枯れの曇り空と、治癒の希望がない、暗澹たる病巣のような日本海が広がっている
離れた峰まで行く人は稀で、歩くのを楽しむというより

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