透明なゾンビ/一般詩人-
声のない悲鳴が、聞こえる
音のない悲鳴が、聞こえる
ここは静かだ、俺は一人だ
ビルは建っている
笑っている人もちゃんといる
駅前はちゃんと再開発が進んでいる
だが聞こえる
悲鳴が聞こえる
誰かの悲鳴が聞こえる
君の手元から
知らない人の手元から
視線の一メートル先から
あのデジタルサイネージの向こう側から
聞こえる
どこに手を伸ばせばいいのか?
音源はわからない
何かの悲鳴だ
誰かの悲鳴だ
どこに手を伸ばせばいい?
誰かが悲鳴を
昔観たゾンビ映画みたいなんだ
ウィルスで少しずつ身体が腐っていく
人間であるうちで殺してほしいと
叫ぶ登場人物がいただろう
あと半歩ずれれば
君も俺も叫ぶ側だ
食われる方か食う方か
それは知らない
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