あたまを石畳にすりつけて感謝するしかなかったんだ/秋葉竹
」
そして、優しくほほえみかけてくれるのだ。
この冷たい、暗い世界に
あかりを灯すように。
「わたくしも、もう眠りますね」
いうとどうしてこんなに
素早く眠れるのか
不思議なんだけど、
今夜もまるでねむり姫のように
もはや近寄りがたい
白い陶器のような綺麗な寝顔で眠る。
でも、寝息だけは
聞いているだけで
幸せになれるくらいの可愛さで、
この
あたしなんかが不遜にも
寝言でいいから
名前を呼んで頂けないものかと
焼けつくほどの願望を
もってしまったりする、
恥ずかしながら。
さとられては、
ここに居させてもらえなくなる気がして
つとめて冷静に、就寝の挨拶を行なう。
「姫さまのみこころのままに、
こんやは、おやすみなさいませ」
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