あたまを石畳にすりつけて感謝するしかなかったんだ/秋葉竹
あの日、
蛇のように
心も体も冷え切ったあたしに、
肌をあたためて
あげるから信じてねって
姫さまがおっしゃってくれるから
「ありがとうございます、救われます」
あたまを石畳にすりつけて感謝するしかなかった。
ただ、
今でもあの時のこと思い出すと、
泣いてしまいそうで困るんだ。
生きていくと
色んなことがあるよね。
昨夜も凍えた人が
「幸せになるには、なにを
どうすればいいのですか?」
姫さまに尋ねるんだ。
睫毛を伏せて
すこし震えていた姫さまは
「それがわからないのは、
つらいことですね。
けれど、あなたの絶望は
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)