かけら 冷たく/木立 悟
遺跡を過ぎる径
蜘蛛の巣と青空
夜へ向かう色
霧のなかの無数の手
冷えてゆく鉄の音
水滴の音に重なり
今は居ない民族の
祭のように響いている
ルシファー クリストファー
水の下と上を見る
冷たい原の上の指
雨の生まれを黙示する
茶色の事柄
銀に銀に繙かれながら
左目の花と涙へと
うたう子らの遍歴を吹く
ほどけてゆく時間の紐が
蝶の風となり額に触れる
宴と祭の隔たりに降る雨
冷たい光の衝動に翻る
響きが夢に在るのなら
地図は現の手には無い
見えないものの影を映す霧
径を夜に延ばしつづける
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