溺れたいよね。/初谷むい
あたしはもうおよぐしかないのかもしんないね。およいでったらあなたに会えますか。あたしの中身は、もう捨ててしまいましたか。もっともっと世界を教えてほしかった。きっとあたしはもう泳ぎも溺れもしないで、あたたかいふとんにくるまってねむる。いつかかならずみんなに会えなくなる。自動販売機を使って水を買う。そんなことが前もあった気がする。これは、誰の記憶なんだろう。触れて。遠くに行って。てをつないだことが、まいにち、すこしずつ、とおくなる。溺れたいよね。}
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