もうひとつ問う。何をもって、私を傷つけた中途半端な欲を相殺する?発展する社会の中で矮小な人格で不器用に私を愛した父を嫌った私は罪を犯していたのか?いたのだ。私は父を抱きしめる前に、足もとに下り許しを請わなければならないだろう。大袈裟ではなく。大袈裟ではなく。夢を果たして七十余年を生き抜いている父に幸いあれ。次には私達が娘にしてやるべきことが見えてくるはずだ。四季がある変わり目ごとに風邪を引くように杉菜のコロニーが立つ。
何が起こるかわからなくなってしまっているからといって何もしないわけにはいかない。個人に滓のように溜まった感慨など時の激しい流れが持ち去ってしまうだろう。
この腐臭はいつまで続くのだろう。空は青く雲は白く子さだめて流れにうまく乗りて去るべし。
初出:Tongue10号 2004年9月11日 原文縦書