夢(ニ) 部分/沼谷香澄
 
。監視。呪縛。無視。威嚇。恐怖。萎縮。諦念。自虐。 盾。}冬薔薇の花を落として鉢に挿す芽が一つ出てやがて枯れたり。
オレンジの種を小鉢に埋め置きぬ花一つ咲きやがて枯れたり。
オレンジの花は最後に口あけてなぜ離婚しないのと彼らに言いつ。
ところで待ち人は来なかったらしく猫はほどなく姿勢を崩した。どっという鈍い音。猫は痩せたのではなく夏の暑さに備えて毛を減らしただけなのだがそうだとしたら寝姿の息苦しさをどう説明付けるのだ。
生後一ヶ月で貰い受けてから三年が過ぎたが切なさはいまだ変わらない。父に話を戻そう。
不可能な彼が景清を謡いおり暗い座敷の灯り背にして。
不可能な彼、里山に走り
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