夢(一) 全文/沼谷香澄
 
対立できるか)?外面上何の対立もないものを異化できるか?自力で考える限り、敵は思い出の中にしか存在しない。思い出はなかば作られたもの。他人または自分によって。
思い出。思い出の、思い出の傷口を開くこと。影がよぎる。朝日をさえぎる。前でも後ろでも上でもない。ならば下か。屈辱。軽蔑するものからの屈辱。「意志の弱いものの一見弱い人生」を認めない考え方。
母。(要するに、複雑な自分の人格の要素を、自分で整理できていないのだ。)生きててナンボ、というのは非常時も豊かなときも変わらない。この時代にあって私は苦しい。}茶色いりんごを四つに割って丁寧に皮むいて喰う 冷たい 苦い
{引用= 雨が近い
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