ひとつ ひとり/木立 悟
 




少しだけ人になる人
背のびをして
外を見る
雨の花がひろがっている


光は近く 遅くなり
音は速く速く伝わる
何もかもが光ではいられない
水の水の水の底まで


山頂の爪が
溶岩を見せては隠す
その度に夜は夜に戸惑い
更に夜である夜へ向かう


双つの管の
片方から出る水
夜に重なり千切れるまだら
すべてのはざまを埋める晶


肉の羽の軌跡と星座
白を白を追ってゆく
去ったものは戻らない
無数の傷が光の粉と降る


曇の容れ物に腕をひたし
何も無さをまさぐっている
雨はひとつ 雨はひとり
咲かぬものを咲かせつづける
















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