悲痛が走る真夜中に/坂本瞳子
重くのしかかる目蓋は熱く
眠気を充満させる
頭が揺れる
カクン
カクンと
前へ
後ろへ
赤ベコのようであろう
頭が上方に持ち上がるたびに
束の間
目が冴える
乾いた喉の痛みが
心地良いくらいで
塞がった鼻の穴から
透明の液が滴る
神々しいほど透き通ったそれに
幻を垣間見る間もなく
このまま静かに眠りに堕ちて
もう目が醒めなくても構わないと
思う間もなく
胸の辺りは撃たれ
管を上昇し
喉を蹴散らして
口からゴホゴホと吐き出され
さらにゴフォゴフォととどまることなく
血飛沫さえも混じっているのではないかと
躍起になろうかというところで
闇夜の冷たさを思い知らされる
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