僕はあるくよ/秋葉竹
 

僕はあるくよ

胸にあながあく病いながく患い

隣町に立ち上がる巨大な虹を見上げ

流れる雲たちの薄い白が

かぼそげな悲鳴ひとつ上げ、

消失していく夕闇が

時代を闇夜に描き変えてしまったあと。

あなたを失って2年、

私のなきごえは

いつのまにかに秋の葉の擦れ合う音に似て

冬の訪れを拒むあまり

孤独の後始末をすることとなる。

月なき
星なき
闇夜。

さざ波のようなとっておきの笑顔
あなたは浮かべて
お芝居をみつづけられると
こころからよかったと
感謝することもあったという。

ビルの隙間に吹く凍える黒い風の正体を
だれも知らず、だれも止められないという。

その夜を過ごすお相手は、だれ?

真夜中飛行船?

僕はあるくよ。
あなたと宇宙の真理に沿って
静かな夜の街を歩くのは、ほかにはだれ?

いまそこにいるうんめいの人の目に
僕の笑顔が映っていたらいいな。



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