さよなら/寒雪
棺に横たわって
昼寝してるみたいな
穏やかな表情のきみに
さよなら
なんて乾いた言葉を
見下ろして呟いた
あれから随分と
季節は追いかけっこを
何度も繰り返して
今ぼくは
棺の中にいるよ
そこにいるみんな
あの時のぼくと
似たような
無味無臭の
さよならを
ぼくに吐き捨てて
見下ろしていくよ
みんなの
心にもない言葉を
奥歯で噛みしめながら
ぼくは
どんな顔をして
あの世へ向かったら
いいんだろう
苦笑いでも
していようかな
皮肉屋だったぼくには
いかにもお似合いだよね
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