ゴミ箱の一生/マリア・ブルー
吐き出すだけの私だ。
ゴミ箱は逆に溜め込むしか能がないが、
誰かに空にしてもらえない限り、役には立てぬ身だ。
明日誰かの役に立ちたいと思うがために溜まった思いを吐き出す必要が私にはある。
どうしてなのだろうと何かを理解しようとしてもどうしてなのか、その人自身にしか永遠に解らぬ謎のだとしたらどうしてかと考えるだけ損なのではないか。
しかし地面でまばらに散らばる大小色形さまざまな枯葉をよけて進む道にたちこめる秋の気配の見事なこと。
明日全部が解けても、それはそれでよいと思える身のなんと身軽なこと。
明日のわが身を保証できる約束などどこにもない。
明日確実に私は生き続けられるかという保証もない。
やっぱり私は明日も身軽なゴミ箱として人類の役に立つというたったそれだけの希望を胸に生きていこうと思う、この一瞬一瞬を糧にして。
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