月面/狩心
 
は宇宙空間に字を撒き散らす ダークマターがインクで
ペンシルはいつの間にかボールペン そしてボールペンは万年筆へと姿を変えて
 時が無かった場所に時を刻み始める つまりツキを眺めてうっとりしているかぐや姫は
もう二度と月面で生活できないという事 何の摩擦も起きないつるっつるの月面で
 未来永劫すべり続ける若いツヤ肌 お通夜という概念がない おんぶしたり抱っこもない
ひたすら回転して引力にツキ合わされる寿司ネタに歓喜 海のない月面に魚はいるよという事実
 NASAもまったく理解できない 揺れる身体 煌く汗 いつまで経っても縮まない地球と月の距離
段々と月面のクレーターが困った変顔の宇宙人を描いていく
 それはシの惑星と言われる地球に向けた 事実っ子、万年筆ちゃんの意味ありげに見せかけた
まったく意味のない意地悪 と見せかけた 人間の本質を説いた鎮魂歌の楽譜
 ただし大気、振動のない宇宙に音楽はない
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