あまいひと時/秋葉竹
わざと目線はずし
うつむいた横顔あまくって
わずかにうるんだ瞳さえ
シロップのようにおもえるんだ。
窓ガラスごしに
おおきなお月さまがほほえみ
いま、灰色のくもが通りかかるのを
ものうげに見下ろしている。
しゅんしゅんと
石油ストーブのうえのやかんが、
怒ったように湯気をはきだしている。
ぼくはこの部屋のすみのソファーで
あなたと、
窓の外の星座をよみとき
この部屋からはみえないとっておきの未来を、
そっとグラスの底のコースターに書き記したりする。
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