幹は細長く・・・ vision & voice 1/金槌海豚
された雫のままに凝固して
裸の枝先のささくれに
消え損ねた無残な姿をさらしたまま
しぼむこともふくらむことも許されず
だらんとぶら下がって
自らの重さで
墜落する
時を待つ
だけ
だ
voices under the tree
−ツララ、ツラツラ
「軒下のツララはどんどんと大きくなり、やがてドスンと崩れ落ちるのに」
−ツララ、ツラツラ
「木の枝にぶらさがっているあのツララは、いつになったら落ちるのだろうね」
−ツララ、ツラツラ
「きっと 冬の最後の吹雪の夜に、小鳥が嘴にくわえて飛んでいってしまうよ」
−ツララ、ツラツラ
「きっと 乾いた小石の上に落っこちて、その窪みに小さな水溜りを作るよ」
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