幹は細長く・・・ vision & voice 1/
金槌海豚
幹は細長く地べたに生えて
空中に頼りない枝を投げ
その先っぽのささくれに
引っ掛かるように
空舞う結晶の伸ばした指がかかり
やがて一塊の 暖かな小春日和には
母の乳房の如くふくらんで ふくらみは淫らに溶けて
ひとときの安息を過ごす 地べたへとぽつぽつと滴って
濁った水溜りに溶けていく
それですべてが
終わるはずだったのだが
次の朝の凍てつく空気に
晒され残された雫は
押しつぶされ
[
次のページ
]
戻る
編
削
Point
(0)