幹は細長く・・・ vision & voice 1/金槌海豚
 
幹は細長く地べたに生えて
  空中に頼りない枝を投げ
   その先っぽのささくれに
    引っ掛かるように
     空舞う結晶の伸ばした指がかかり
     やがて一塊の           暖かな小春日和には
     母の乳房の如くふくらんで    ふくらみは淫らに溶けて
    ひとときの安息を過ごす    地べたへとぽつぽつと滴って
                  濁った水溜りに溶けていく
              それですべてが
      終わるはずだったのだが
       
   次の朝の凍てつく空気に
  晒され残された雫は
  押しつぶされ
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