存在失格 (真夜中の三叉路)/もっぷ
 
くさくさする夜だった
何もかもがうまくゆかない
できたと思った即興のソネットは
書きとめようとした途端に
すべて蒸発してしまった

くさくさするこんな夜に
あなたにはごめんなさいを繰り返す
私の夫となったばかりに変えざるを得なくなった
いくつもの習慣や あるいはもしかして
全面的なライフスタイルの見直しに至るまで

私(あたし)さえ現れなければ

人間失格とかいうタイトルの本
一度も手に取ったことはないけれど
幾度も過るのは 私など(あたしはきっと)
存在失格なのだということ
あなたには

お願いだから探さないでね

と書置きしたい そして
……という物語が量産できそうなほんとうに
どうしてこんな夜があるのか(あるなんて
ちっとも知らないで産声をあげてしまってあたしは
それでもこのたったいま(・・)も神さま
ひととして生まれてしあわせ過ぎて泣いています
これって犯罪的ですか……)


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