全部嘘だと秋の風が言ったので/倉科 然
 
全部嘘だと秋の風が言ったので
それでは終わりですねと冬の空が言いました
春の花は無関心そうに頷いて
かたわら、夏の虫が死にました

青空で、歪んだ月明かり
うさぎ達は人を解体して笑っていました

あなたは、太陽に輝く長い髪をバッサリ切って
泣き笑いながら沼へ足を踏み入れました

私はというもの、長電話で誰かの冷たい言葉を鼓膜に焼き付け
ウイスキーとチョコレートを口に運びました

深夜の遊園地
賑わいはゴミとともに運ばれて
集積場に哲学書と一緒に捨てられました

アイスピックで削られた丸い氷は溶けて無くなりました

いつのまにか季節は独り言をやめました
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