ひかり ひとり/
木立 悟
半月のかたち
窓辺の幽霊
言葉を残し
燃えてゆく紙
四月の彼方
こぼれる花房
けだものは聴く
曇の終わり
わたる風
まだらに碧く
岩ひとり
神ひとり
逃げるように夢から覚めて
雪の音が肩に残る
下くちびるにつもる花の香
散らしながら去る雨を視る
霧に降る霧
かすむ名前たち
こだま こがね
舞う者の指
急かすことはない
手紙は来ない
燃え残る言葉
はじまりの言葉
手のひらに唱い
紙に忘れる
けだものの声
また 雨が来る
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