晩秋の一頁/もっぷ
心のなかの晩秋は
村雨ばかりの降りしきる
そこへわたしは土足で立ち尽くし
自らを裏切り続けている
かなしみ屋の通り道で
一等かなしいラブストーリーを と
けれどいつまでも訪れず ふっとハロウィンの
喧噪への切符を手渡される
誰、と思えばそれは夫で
彼も泣いている それなのに
わたしにガーゼのハンカチをくれて
ついそこで拾ったから
、夢は明けて 夫がわたしの
顔を晴れ晴れと覗き込んでいる
起こさないつもりだったのに と懐かしい声で
心のなかの晩秋に一筋の
ひかりがそっと すこしずつもっと
わたしは
靴を脱いで 夫に
しがみついて確かめる
ちいさなキス
ひとつあなたから
ひとつわたしから
傘のなかった侘しさはもうどこを探しても 何故って
またひとつキス あなたから
おはようと聞こえた
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