いざない/もっぷ
 
街路灯に恋したらしいサルスベリがあって
幹はもう真っ直ぐにはもどれないだろう
と 私などが案じなくとも
それでも愛しくも切ない一本であり

九月の散歩道で出会う度に花の
その数や勢いをまで(私なんかが)
気にしつつ 十月のいつだったかにとうとう
くれないの一輪すらこの世から消えていた

悲しかった
けれどある日にくれないが見得て
吸い寄せられるように間近であおげばそれは
ただ一枚だけ紅葉したまるで

招待状(いざない)だった

サルスベリの結実にまで思いを馳せたことはなく
曇天のその日に立ち位置を工夫して
空を背景に見上げれば
人である私の浅はかを季の神に告げられたかのよう

天と地と恵みの雨そして風
あとは何だろう とりあえず
そのサルスベリは

カレーライスがなくってもがんばれます、
ではまたあした。

うんうん、
きっとかならずまたあした!


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