筆者/坂本瞳子
つらつらと
ただ文字が書きたくなる
伝えたいメッセージなどないけれど
胸が疼く
いや喉のあたりか
腕か指先か掌か
左足の第四趾ではないだろうか
それとも蟀谷
はたまた膕
嗚呼
身体全体を駆け巡る血管ではないのだろうか
つらつらと
気持ちのままに溢れ出す想いを
文字に重ねて刻み綴り
書きなぐっては
思いの丈を知り
自尊心と取り違え
恥じらいを覚え
それでもなお
書くという欲望を抑えきれずに朝を迎える
つらつらと
文字を書き続ける
今宵もまた
月明かりの下
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