どうしようもなく/坂本瞳子
 
春の空が欲しい

ふと
そんな想いが過ぎった

だからと言って
できることはない

桜の花が好きでもない
お気に入りの季節でもない

けれど
そんな風に思ってしまって
どうにも抑えきれなくて
なにをどうしたらいいのか分からなくって
叫び出したくって
走り出したくって
この迸る想いをどこへどうしたらいいのかが分からないのに
だれもなにも教えてくれなくって

気がついたら交差点の真ん中で
人混みの中
号泣していた

おまわりさんに連れて行かれた

でも答えは見つからなかった
涙は止まった
いや
止められた

鼻水も涎も
拭き取られた

もうすぐ朝が来る

春の空はまだ遠い
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