五月には枯れる花/伊藤 大樹
 
熱に浮かされて
ひとりで居る間
私たちの上空を
留めていた骨が

  溶けだし
  また骨に
  戻るまでの
  湿度を保つ

鳴りだす私を/連れ戻す
架空のお前の声が聞えて
いるうちは
まだ大丈夫
と、思える

  卵を溶き
  熱の中へ
  流しこんで
  連絡を待つ

眼を閉じていると
机の上の花たちが
次々と枯れていく
様を見届けながら
出来損ないの私は
羊水に浸ったまま
セックスの真似事をする

ひとりがまぶしい

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