古の森にて?/忍野水香
静寂に満ちた神聖な森の気配
その圧倒的な深い森に包まれた時
今の私たちが忘れかけていた
大切な記憶が蘇ってくる
ずっとずっと昔から
人は森と共に生きてきた
私たち一人一人はこの森に生きる
木々であり
花々であり
土であり
森、そのもの
全身の六十兆もの細胞が
一斉に開いて
水とつながり、
森とつながり、
自分自身とつながる
ひとり、ひとりが
自分の物語を生きてゆく
土砂降りの雨でさえ
それを祝福として
喜びに変える力を
人は持っている
起こる出来事自体に
良い、悪い、という線引きはなく
それをどう受け入れ
どう捉えていくかで
人生は、幸にも、不幸にも、
どちらにも変わるだろう
何千年と生きてきた木々たちに触れ
息吹を感じ
この木が伝えようとしている
声なき声に耳を澄ませる
私たちが木や花を見るように
木や花はいつも私たちを見ている
そして無償の愛で癒し、育み
いつも私たちを原点へと戻してくれる
この森の中には
自然の一部として
私たち人間が生きてゆくための
答えが、全て有る
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