波長/
乱太郎
わたしの波長は沈む陽に重なり合って
ポチの波長は雑踏の音を消す
あなたの波長は銀河の渦から生まれ
冬の波長は生まれいづる幹の芽
わたしの波長はノイズのようで
あなたは綺麗な踊り子のステップみたい
あなたの波長で音楽が鳴らされると
星は円い起動で動き始めて止まらない
わたしはあなたの波長に近づきたいと願うが
あなたはいつも琴の響きのように
子を抱く母の温もりに
蟻が戻る巣の中に
塵が堆積する深海の底に
そっと隠れていってしまうのです
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