僕の船/山人
いくつかのブラックホールを超えて
僕の船は宇宙を漂っている
星はきらっと輝いたかと思えば
それは一瞬のきらめきであり
あとは黄銅色の鉱石が漂う空間だった
宇宙に風はないというが
少しだけ風はあって
それはこの宇宙の端の
滝のしぶきから生まれるものだと思った
太陽や土星は激しく鈍い音で自転し
それがいろいろな天体に影響を及ぼしていた
僕の船は少しだけ流線型で
寂れた宇宙の片隅にいつも存在した
宇宙人の交信も途絶えた頃
僕はついに老いていた
何処に行くのだろう?
結局どこにも行けず、僕は
宇宙の闇の中で
静かに言うだろう
闇は深いな、と。
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