金木犀の秋/即興ゴルコンダ(仮)投稿/こうだたけみ
公園のそばを通ったら金木犀がわずかに香って、まだ早い、まだ早いよ!って言いたくなりました。9月も終わってしまうよ。
その香りから思い出すのは壁にビラだらけの学祭とファイヤーストームの水かけ係でずぶ濡れた部長さんの縮んだ革パン、学生会館5階のサークルのBOXに泊まって地下にシャワールームがあるのを初めて知ったこと、でっかいネズミと黒じゃなくてオレンジ色のゴキ、ホール棟の階段で明け方にこっそり線香花火をしたこと、キャメルを吸う女の先輩とチェリーの香りの細いタバコの女の先輩とPeaceを吸う隣のサークルの部長(に片想いしてたこと)、機関誌はリソを使って刷った手作りで読んでくれるのは親交のあるサークルの人くらいだったけど活字になるのはうれしかったこと、少し経つとボジョレーヌーヴォーが解禁されて学祭のノリのままみんなで飲んだこと。
芋づる式に思い出される記憶の時間はごちゃ混ぜで、等しく10年以上も前のことであるのには少し途方にくれる。まだ早い、まだ早いよ。人生の半分しか生きてないし。こちらは年を一つ重ねて、それでもそっと踏み出してみる、秋。
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