久遠の旅/忍野水香
 
去って行く人は
未来の時間を数えるが
残されていく人は
残りの時間を数えている

どんなにその時間が愛おしかろうと
その時間は永遠には続かない
時間は決して止まってはくれないのだ
それに執着していくら願っても
引き留めようとしても、無駄だ

過ぎ去った時間は
もう 写真やビデオでしか見ることはできない
切り取られた一瞬だ
しかし、それは、微笑みを返してはくれない

生きる、ということは
ただ呼吸をすることではない
喜怒哀楽を人と共有して
意味や価値を齎す

自分を傷つけてくれる人は
人生の教師だ
辛くても、傷つき傷つけられながら
人は成長していく

衣食住、そして愛に、
すべてに満ち足りた生活の中で
人はどんな成長をできるのだろう

気づかずに
時には自分も教師となり
相手を鍛えるのに協力し
貢献しているものだ
個々の違いがあるからこそ
切磋琢磨し、学び合う

そして 人は自らの成長の為に
魂を磨く為に
気が遠くなるほどの歳月を
何度も何度も生まれ変わりながら
久遠の旅を続けているのだろう
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