心象風景/寒雪
微妙に寝苦しい夜更け
いつの間にか眠りについて
目を開けると
眼前に地獄への十三階段
両手を顔の高さまで
ゆっくりと持ち上げて
握った拳を開くと
何にも持ってなかった
まさしく徒手空拳
ああ
これから門を潜って
閻魔様の審判を受けるというのに
戦うための何物も持ち合わせていないとは
はてさてどうしたものか
思案を巡らしていると
不意に頭上から大きく泣き叫ぶ猫の声
猫?
猫!
そう思ったと同時に
目が覚めた
そりゃ夢だよな
夢に決まってるよな
こちらが起きたのに気付いて
トーンをさらに上げる猫
ベッドから起きてご飯を用意してやる
嬉しそうに食べる猫を見ながら
リアルだった地獄の階段に思いを馳せた
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