はぐれぐも/寒雪
 
肌寒い路地裏を出て
そろそろ冬支度の公園に
真ん中辺りで見上げてみると
浮かんだ雲は食べかけのクレープだった
心が静かに微笑むのを感じて
もう一度見上げてみると
雲の合間にぽっかりと
瑞々しい飴玉が二粒
おいしそうだな
そう思ってるうちに
クレープも飴玉も
どこかに雲隠れしていなくなった
どうせならスマホで撮って
いつまでも保存しておけばよかったかな
思いかけてどうせすぐ見返さなくなるのだから
撮らなくて正解だった
なんて強がりを独り言ちた

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