simile/木屋 亞万
 
しぼんでしまう
わたしのなかにソウルシンガーはいない
踊るのには向かない
角ばった関節と
しなやかさのない筋肉が
左右に揺れるしかないが
鏡に映る姿は
みじめに泣いているようにしか見えない

僕はお前自身だ
わたしは君とともに眠り
それをたべるときあれに食われている
愛を思うとき恋に焦がれて
水に足を浸すとき喉は乾いている
彼女は好きな人がいるが彼ではない
風車は風向きと違う方に回る
吐く言葉は自分に溜めた言葉は呪いに
長生きするほど臆病に
強くあるほど美しく
悲しいほどにやさしくなって
ここにいるすべての人間は私なのだ

なにもかもが特別で
どうしようもないくらい平凡だ
愛してるよ世界
飽きるほど食べて
頭が痛くなるほど眠って
腹がよじれるほど笑って
声が枯れるまで歌おう
余裕があればやさしくなれるさ

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