simile/木屋 亞万
心の薄い皮を
細く削いで
お湯に浸して
柔らかくしたものを
ぐいぐい編んでいく
腰のあたりで
ミツバチが巣をつくり
ひそかに蜜をためている
肺の辺りに茎が伸び
小さな紡錘体のつぼみが
大きく漲り花の咲くころに
濃い血がたくさんいるだろう
やけに肩が凝る
背中に張り巡らされた
シートベルトの繊維が
ほつれつつある
手首を流れる管が
中折れして
指が痙攣しつつある
馬の走るように
波打つ心臓に合わせて
なかなか良いリズムになる
のびをしたとき
からだの底から声が出て
そのまま歌いだせそうな気分になる
喉から声が出た途端
すべての幻想がしぼ
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