本能/
坂本瞳子
ざわつく心は
秋の訪れとともに目覚め
不安な心は
闇夜とともに広がる
落ち着きを知ることのないこの動悸は
はけ口を求めて高鳴り
救いの手を求めてもがきはするけれど
空ばかりをつかんでは
虚しさを覚え
満たされぬまま
風に吹かれる
幾度となく繰り返し
打ちひしがれて
打ちのめされて
それでもなおまだ続ける生は
力強く
この上なく強い力で
ここにあるのだと
叫んでいる
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