ohayou!/宮木理人
半分眠って、半分起きている体の
そのちょうど真ん中に、ひとつの花が咲く。
咲いた瞬間に枯れてしまったその花の、真上にまた重なるように、同じ花が咲いて、しばらくしてまた、その上に花が咲く。
下から順番に枯れてゆきながら、幾十にも重なって咲き続けるその花のてっぺんに、ミニチュアサイズの自分が立っている。
スーツ姿で腕時計をちらちらと見ながら遠くのほうを眺める自分は
なにやら忙しそうにしながらも、さっきから特になにもしていない。
不十分なことばと、態度と、どうしようもなく停滞した現状に、ぴしゃりとムチを打つ。無知を鬱。
彼はそれなりにハッピーだったのかもしれない。
いつもにこにこと笑っているし、これまでもそんな調子でうまくやってきたのだろう。
異様なほどに花だけがきらきらと光っていて、それ以外の全ては寡黙な黒に包まれている。
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