月光/秋葉竹
少しならだまされてあげてもいいよ
このくちびるうばいたいとかはダメだけどね
いちめんのすすき野をわけいって河原に出る
静かな水の流れが
さやさや さやや さやさや、と
うっすら白銀色のささやきを
風に揺れるすすきの穂が
しゃりしゃり しゃりり しゃりしゃり、と
ほのかな黄金色のささやきを
二重奏で奏でてくれている
いままでの均等だった年月
平凡とか異端とか賞賛とか苦悩とか
喜悦とか懊悩とか号泣とか大笑とか
人型としてすり抜けてきただけかと観念していたが
けっしてそうではなかったと今夜答えをもらったよ
いちめんの漆黒の空に
白色絵の具で 円 描く
月 あかり かがやく 地上には すすきゆらす風
試したのは月光
さあ あしたも降りそそげ
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