月光/秋葉竹
いちめんの漆黒の空に
銀色絵の具を 振りかけて
秋 星座 またたく 地上には すすきゆらす風
高校の制服も冬服となり
詰め襟が真面目そうに通学バスから降りる
昼間の手強い強敵のような暑さが
嘘でもあるかのように消えていき
一日を そこそこ懸命には生きたはず
散歩道 軽やかにリズムをとって歩くと
懐かしい夕餉の匂いが
あちこちの家家のシルエットからもれてくる
いままで泣きたいことはあったけど
死なずにはいさせてくれた誰かさん
それを神というなら神さんに
この 星空えがいた透きとおったデッサン力ふくめ
甘ったるい憧憬で手をあわせて感謝する
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)