ある個体/いっと
 
黒い空から夏の問いが、
身体に差し込まれて
意思の間隙で
するどいものが窺っている
虫の音を風が運んだ夜に
生きるものはみな静かに重なり
目を瞑っても怖くはない

視線を置きわすれてはいけない
どの形でも適切だが、
いつの間にか囲まれている

(見えない道が、浮かんでいた)
暴力のように
肌は
めくりあげられ
閃光
歩く速度はゼロに漸近する

朝になれば、きっと放たれて
そこには温度もない
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