四つの墓標/
もっぷ
夏の花が好きな人は情熱的なあなた
燃やし尽くせなかった心残りを思えば
わたしは墓標に毎日くれないを絶やさない
秋の花が好きな人は人嫌いのあなた
この世に未練なく旅立ったことを思えば
わたしは墓標に一度も行かずに
心のなかでなぐさめる
冬の花が好きな人は潔癖症のあなた
くべられてこその本望を思えば
わたしは墓標をひたすらに清めるだけ
春の花を待ったあなたは誰だったのだろう
黒い縁取りの封筒が届く春、朝まだき
宛先も差出人も同じ同じ名前
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