森/秋葉竹
 
それは 悲鳴だったか

夜、星空に流れた
気づけば消えてしまうかすかな夢の中の笑い声
少し枯れてしまったシマリスの森の中で
ささやかな それでいて生真面目なそよ風に

生活を鵜呑みにできない強い失望をかかえた木が揺れ
甘い蜜をその身にひそませたこがね色の湖が波打つ

星は、
流れずにそっと地上の欲望から眼をそらし
はるか遠くかなた海峡の
美しい髪の毛を切った人魚たちの
鈴がふるえるような儚げな笑い声を夢を見ながら聴く



(まるでそのまま眠りにおちる花束に
替え水をあげる音にさえ赤面してしまいそうな
コバルト色の花瓶はやさしくなでてもらう)


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