つぶれたカラオケボックス/
渡辺八畳@祝儀敷
県道沿いに転がる店の死骸
人影のなごりも蠢かず
静寂が壁を黒ずませている
MIDIの安音源で
存在しない人の歌を歌おう
忘れられた空間に
テレビ画面だけが浮かんでいる
僕は息を潜め
壊れたマイクを暗闇で握りしめた
手汗がじわっと滲む
外でトラックの通る音がした
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