夏の終わり/
坂本瞳子
風鈴の音など聞きたくない
汗ばむ額が太陽を拒否するけれど
乾いた足の裏は砂を求め
軽い目眩を歓迎する
蝉の鳴き声に起こされて
この上なく不機嫌になり
八つ当たりする矛先を見つけられず
それでもなお尖ってはみる
雑草ほどの強靭さを一欠片
握り締めたまま走り出す
夏の夕暮れは赤く焼けて
過ぎゆくときを刻みつつ
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