麦の風/感人
僕はここにいると
程なく生きてしまうんだ
きっと 辞めたりなんか出来やしない
もう 街も人も 友さえも捨てて
一人山に行く
そう思って生きてきたのに
このまま なんもしやしないんだ
だからもう 何も言わなかった
そのままにしたんだ
そして 東京に行く
ここはともすれば 途中だから
ふと駅を降りて 麦の風の様に
あぜの道を歩いてみれば
直ぐそこは森で
山へと続く 赤い鳥居が見えたりする
そんな所だから
もう帰らない
こうして すべてを捨てていく
友達にすらなれない
だから最後に
灰を撒いておくれ
僕の好きだったところに
いつまでも飛んで行けるように
この詩《うた》をあげるよ
さよなら
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