【批評ギルド】原口昇平「とりあう手」について/田代深子
「とりあう手」 原口昇平
こぼれた兵隊のおもちゃがあって
はらはらとねじがまかれているこの世の誰にも知られないように手にとる手をとる
写真にとられるのをきらった友人の顔に似ている朝に
つづいている内乱で右足を失った兵士と彼の仕掛けた地雷で左足を失った少女があるとき出会って肩を抱き合いながらそれぞれ一本ずつしかない足を交互に前へ踏み出した」
物語ははじまることも終わることもなくこぼれているのをひろいはじめるその
はらはらとねじをまくこの世の
物語はどこから生まれてくるのか。
たとえば〈歴史〉も物語である。そして〈歴史〉=物語にな
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)